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 <<第17講>>多角測量の標準偏差
三角測量時代は、観測値の処理は同種のものでした。また、観測値の重量が異なっている二等と三等三角測量を同時に処理をすることはありませんでした。70年代に入り光波測距儀が実用化し、距離と角度のような異種の観測値を結合して処理する必要が生じてきました。前に考察したように、方向の重量を無次元化し、観測方程式を「秒」単位として、距離と角度の結合処理を行ってきています。このような手法では、標準偏差を使った精度管理は事実上不可能になっています。
・重みの定義及び距離観測値の重量
前々号でのべましたように、公共測量作業規程では、距離に関する重量を次式で扱います。
ただし、aは距離に関係しない誤差、bSは距離に依存する誤差です。
方向観測値を単位重量として、距離の重量を決めています。三角測量の延長線上で多角測量の重量が決められていることになります。
・国土地理院の計算例
国土地理院HPに示された[BL網平均]の計算例は、平均的観測距離は3,000m程度の39の辺長観測と14点における角度の観測から成り立っています。計算結果から得られた事後の単位重量当たりの標準偏差として0.68″が示されています。この計算において、事前に与えた方向の標準偏差は1.4″、距離に関してはa=5mm、b=2 ×10−6です。距離の重量を計算しますとps=6.8になります。つまり、方向の重量=1に対して距離の重量=6.8ということになります。こうした方向や距離の重量を用いて計算した結果、事後の標準偏差が0.68″ということを示しています。
筆者は、事前に与えた方向の標準偏差を1.0秒として計算しました。その結果、事後の標準偏差は0.84秒になりました。同じ観測値を使っても、事前に与えた観測値の標準偏差が変われば、事後の標準偏差も変わります。
・精度評価の基準は?
この網の構成は辺長観測が主体ですが、辺長観測値の標準偏差はどのように計算すればよいのでしょうか? 私達には、事後の標準偏差は小さければ小さいほど良い観測であるというような感覚があります。しかし、事前に与えた標準偏差によって事後の標準偏差が変化するわけですから、0.68秒だからなんとなく良いのではないか?という情念的な話で、精度評価に関する理論的根拠をさがすことができません。
χ 検定
事前に与えた標準偏差と事後の標準偏差の関係から、統計的に精度評価を行う手法がχ検定です。上記の計算例の場合、自由度が18で検定統計量
   χ=vT,Pv =4.1
となります。信頼度98%における信頼区間はχ分布表から次の結果を得ます。
   7.0−34.8
χ=4.1 は信頼区間の外に落ち、この網平均結果には何か問題が潜んでいます。次回はχ検定による精度管理について考察したいと思います。

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