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測地成果2000Q&A
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2.Trans/LSCに関するQ&A
Q.LSCは何の名前からきたものですか?
Least Squares Collocation (最小2乗コロケーション)から名づけたものです。
LSCは離散的なデータから予測や内挿を行うものです。Trans/LSCは内挿を扱っています。私達が最もなじんでいる内挿法は、周囲のデータから目分量で「等高線」を描くことです。LSCは内挿を最小2乗法で計算処理するものです。TKY2JGDに使われている「Kriging法」もLSCと同様、内挿法のひとつです。バイリニア法も内挿のひとつです。LSCは測地学における重力分布を推定するToolとして使われ、現在ではジオイド高の推定にも使われ、日本のジオイド96や日本のジオイド2000でも重力ジオイド高の長波長成分の修正に使われています。

Q.「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」第37条運用基準に「地域毎に適合した変換パラメータ」による座標変換が定められています。御社のTrans/LSCを使って計算する場合、既知点は何点必要か。
変換方法によります。各変換方法の変換パラメータ数および既知点の必要最小点数は、次表のようになります。
変換方法 パラメータ数 必要最小点数
平行移動 平行移動2
平行移動・回転 平行移動2、回転1、計3 1点1方向
平行移動・回転・伸縮 平行移動2、回転1、伸縮1、計4
アフィン 平行移動2、回転2、伸縮2、計6
Trans/LSCは最小2乗法により解を求めていますので、表の必要最小既知点数に最低1点の既知点をプラスして変換パラメータを求めるのがよいと思います。

Q.どの変換方法が一番適しているか?
上に示しました平行移動など4つの変換方法のうち、どの方法が一番適しているかを調べるのが「AIC」です。下の画面のうち、最も数値が小さいものに相当する変換方法が最も適しています。この例の場合は、平行移動・回転が59.789です。その次が平行移動・回転・伸縮のヘルマート変換で60.403です。その差は0。614です。AICによれば差が1を超えた場合が有意な判定になります。したがいまして、この例の場合、「平行移動・回転」または「平行移動・回転・伸縮のヘルマート変換」のどちらでもよいことになります。既知点が多い場合、アフィン変換が最適な場合が多いのですが、既知点数が少ない場合、「AIC」により変換方法を判定することをおすすめします。
「注」通常、標準偏差で計算の良否を判定しますが、必ずしも正確な判定方法でなく、手法も含めた判定が必要になります。その判定方法がAIC「Akaike Information Criterion」です。
Trans/LSCにおける変換方法の判定画面
下図はGPS観測値における距離Sと誤差eの関係が、「・」で示されています。誤差モデルとして、次の3つが考えられます。
@ e=a
A e=aS+b
B e=aS2+bS+c
Bの場合は一意の解が得られますが、距離Sが長くなると誤差eが減少しますので、誤差モデルとしてはふさわしくありません。公共測量の場合のように観測点間距離が短い場合、@とAどちらが適しているか?「AIC」によりきめます。無論、Aの場合の標準偏差は@のそれより小さくなりますが、Aのモデルがよいと限らないのです。

Q.Trans/LSCとアフィン変換の違いは?
Trans/LSCの仕組みから説明しましょう。
平行移動による新旧測量網の関係
下の図の赤長方形が旧測量網です。青色の正方形が新測量網です。旧測量網を新測量網に合わせるため平行移動を行いました。平行移動量はx0,y0です。旧測量網はθだけ回転していますが、この時点では回転量は修正しません。変換パラメータはx0,y0の二つです。新旧座標の関係は次式となります。ただし、(x',y')は旧座標(x,y)は新座標。
x=x0+x',  y=y0+y'
平行移動によって新旧測量網を合致させたわけですが、
具体的には平行移動による「中心の1点固定」を行ったことになります。新旧の座標差を黒のベクトルであらわしてありますが、左回転がみられます。
平行移動と回転による新旧測量網の関係
次に平行移動x0,y0と回転θの三つを変換パラメータとして新旧測量網を合わせます。この場合は「中心の1点固定」および回転の修正で「1方向固定」といえます。新旧座標の関係は次式となります。θが小さいので、cosθ=1、sinθ=θとしてあります。
x=x0+x'−θy',  y=y0+y'+θx'
新旧差である黒いベクトルの回転はなくなりましたが、スケールの差による内向きのベクトルになります。
平行移動・回転・伸縮による新旧測量網の関係(ヘルマート変換)
スケールを伸縮させ新旧測量網の面積が等しくなるようにします。新旧座標の関係は次式となります。ただし、スケールkは1に近いのでkθ=θ、kx0=x0としてあります。
x=x0+kx'−θy',  y=y0+ky'+θx'
変換パラメータは、x0,y0,θ,kの四つで、「ヘルマート変換」と呼ばれているものです。
平行移動の計算例
上図は横浜市における公共測量とGPS測量結果から「地域毎に適合した変換パラメータ」を求めたときのものです。変換方法は「平行移動」です。矢印は各公共基準点の誤差に相当する残差です。残差ベクトルの左回転がみられます。下図は「平行移動・回転」が変換パラメータになっていますので残差の回転ベクトルは消えています。標準偏差は0.226mから0.138mに改善されています。
アフィン変換
ヘルマート変換の場合は回転および伸縮がxy方向とも同じものを扱っていましたが、アフィン変換においてはそれぞれxとy方向に異なったθx,θyおよびkx,kyを変換パラメータとして扱います。したがいまして、新旧座標の関係は次式の6パラメータとなります。
x=x0+kxx'−θyy',y=y0+kyy'+θyx'
新旧測量網の結合状態が最もよくなり、新旧座標差は最も小さくなります。なお、アフィン変換によれば、旧座標系の直交性を前提にしていないことから、この変換方法は理論的に誤りである、との意見を耳にしたことがあります。すでにご案内のように、旧座標の持つ誤差は直交性を保存した新座標へ変換するのですから問題ありません。
Trans/LSCにおける座標変換方法の選択
Trans/LSCでは「座標変換」を選択すると「地域毎に適合した変換パラメータ」に対応する「ローカル変換」と「TKY2JGD変換」の選択場面がでます。
そこで「ローカル変換(LSC)の実行」を選択すると「平行移動」などの座標変換方法を選択できるようになっています。
信号(残差)の処理
平行移動またはアフィン変換などを行い、新旧測量網の合致を行います。この場合、変換のための基準点においては残差が生じます。つまり新旧の座標差で、前述の図では黒矢印で示しました。LSCではこの黒矢印であらわされている残差を「誤差」のように扱うのでなく、「信号(Signal)」として扱い、周囲に配布します。
簡単な例で示しますと、下の図は「距離の逆数」および「距離の平方の逆数」を重みとして信号を配布したものです。LSCにおける重要な問題は「重み付け」にあり、通常は「共分散関数」を使います。前に示した画面は「平行移動をトレンド」として「信号」を配布する「最小2乗内挿」として設定してあります。
マニュアル第37条運用基準では残差が10cm以内のものを採用するよう定められています。ここでいう残差が本当に信号として扱ってよいかどうかは「測量士」の判断になります。重要な判断です。
もう少し考察してみましょう。
下の図は回帰直線T=a+bDを最小2乗法できめたものです。変換パラメータはaとbになります。それでP点の内挿は次になります。
T0=a+bD0
ところがP点近くのT4の残差v4は大きく内挿結果であるT0の値は問題がありそうです。LSCでは残差vを誤差扱いするのでなく、信号sとするのです。図の赤曲線がTの分布として扱われます。P点ではT0にs0を加えた値が、LSCで扱うP点における内挿値となります。信号sはv1,v2,v3,v4,v5からのDにより重み付けを行い平均した値になります。「マニュアル」第37条に定められた「重み付補間」による方法に似ています。LSCにおいてDの重み付けが重要な役割を果たします。LSCによる内挿結果は単なるアフィン変換の場合より正確です。実際のデータでも証明されています。

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